大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)4165 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人牧野良三、同鍛治利一、同新家猛、同坂野滋、同沖蔵、同沢田有志夫の上

告趣意第一点について。

論旨引用の大正七年(れ)二〇二九号同八年二月二七日の大審院判決は刑法九六

条の三が制定される以前の判例であつて、談合が詐欺罪になるかどうかについての

ものであるから本件に適切でない。

次に論旨引用の昭和一七年(れ)一五九七号同一九年四月二八日の大審院判決は、

「公正ナル価格ヲ害スル目的」についての判例であつて、「不正ノ利益ヲ得ル目的」

について判示するものとは認められないから、本件に適切でない。しかし仮りに右

の大審院判決が、不正の利益を得る目的を以てする談合罪の成立に関し、公正なる

価格を害するのでなければ不正の利益といえないという趣旨を判示しているものだ

とするならば、その点は当裁判所の判例(昭和二九年(あ)三一九八号同三二年一

月二二日第三小法廷判決)によつて変更されたものというべきである。従つて論旨

は採用できない。同第二点について。

論旨は東京高等裁判所の判例を援用して原判決の判例違反を主張するけれども、

所論の点については当裁判所の判例の存すること前記のとおりであるから原判決は

これを維持するのを相当と認める。論旨は採用できない。

同第三点について。

論旨引用の当裁判所の決定は「不正ノ利益ヲ得ル目的」を以てする談合罪につい

ては何等判示するところがないから、本件に適切でない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

- 1 -

昭和三二年二月二六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 島 保

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!